定番、シンガポールの住宅事情
シンガポールの住居の話をする時に、国民の8割は公共住宅のHDBに住み、外国人とお金持ちはコンドミニアムや一軒家に住むと説明される事が多いです。
売値で言うと、HDBは2-3千万円〜、EC5千万円〜、コンドミニアム1億円〜、一軒家3億円〜。賃貸だと月額HDB10万円〜、コンドミニアム30万円〜、一軒家100万円〜くらいでしょうか。もちろん場所や大きさで値段は前後します。
外国人居住者の場合、会社から十分な住宅手当が出る人は、コンドミニアムなどに住み、手当が少ない人は一つのフラットを複数の人でシェアして住む事が多いようです。
外国人居住者の場合、短期滞在が多いでしょうから賃貸の事が多いです。永住権を取って長期滞在される方は、外国人でも購入出来るコンドミニアムやセントーサコーブの住宅を買うことが多いようです。最近は中古のHDBを買う永住者のお話も良く耳にします。
日本人の駐在員の家族の方と話していると、自分は外国人だからコンドミニアムに住んでいてシンガポリアンとは違うというような特権意識を持っていらっしゃる方にたまに会いますが、そう言うあなた方の住んでいるコンドミニアムの大家はシンガポリアンが多いんじゃないかと思いますし、そういう風にシンガポリアンを一絡げにして上からの意見を言う人には違和感を感じます。
話を戻しましょう。
HDBというのは、国土が狭いシンガポールで皆が自分の家が持てるように計画された住居です。シンガポール国民や永住者が購入する事が出来、外国人は借りる事が出来ます。
高層にして土地を無駄なく使うだけでなく、敷地には緑が多く配置され子供用の公園と大人用の屋外スポーツ施設が併設されています。
一階はホーカーと呼ばれる屋台風の食べ物屋さんや幼稚園などが入っていて、仕事から帰って子供を迎えて、ホーカーで夕ご飯が徒歩圏内で出来るようになっています。
MRTという電車の駅やバス停に近い交通に便利な場所に建てられ、雨の日も日差しの強い日も庇伝いに駅に行けるようになっています。
各建物はシンガポール国民の宗教や人種が、偏らないように満遍なく割り当てられていたり、収入によって、買えるユニットの広さが決めたれていたり、自由度が制限される部分もあります。
初めてこのHDBのルールを聞いた時は、自由のない国だなと思いましたが、限られた土地を有効利用する事でより多くの人に自分の家を所有してもらうという目的を達成するために、多少の個人の自由を減らすことは仕方がないという考え方は、とてもシンガポール的で合理的だと今は思います。
EC(executive condominium)という選択もあります。ECにはHDBにはない敷地内プールやスポーツジムがあり、10年たったら自由市場で売買が出来るというものです。HDBよりも割高ですが、コンドミニアムよりも安価です。購入には所得制限があり世帯月収14,000ドルまでの家族が購入出来ます。
内装を綺麗にリノベーションしているHDBオーナーも多くいます。
昔のHDBの中には、ショップハウス(2階建)タイプもあります。
HDBは政府から借りた土地に建てているので、購入したとしても利用できる権利は99年間で、それが過ぎると政府に変換しなければいけません。
住居費が安く抑えられ99年は住めるのであれば、2-3世代は引き継いで住めます。自由を求めて高額なコンドミニアムを買ったとしても身の丈に合わない物であれば、支払いのために一生働く事になります。
一生涯に稼ぐお金の何割を家に使うのか。ある程度政府によって決められているシンガポールは、ある意味不自由であり、同時に家の悩みから解放されていて自由でもあると思います。
コンドミニアムを購入したシンガポリアンは、コンドミニアムに住み続けるしかなく、HDBに戻りたい時は持っているコンドミニアムを売り払って戻るしかりません。
HDBを持っているシンガポリアンは、コンドミニアムを購入する事が出来るという抜け穴もあります。
ECのところにも書きましたが、HDBを購入するには世帯月収の上限があり、新築HDBは大きさによって5000から18,000ドルです。