人生で一番贅沢をした日
人生で一番の贅沢について言ってしまうと、自分と別の世界で暮らしている人に「たったそれだけか」と思われ贅沢度合いが矮小化されてしまって、美しかった思い出が汚されそうで言えないのだけど、敢えて人生で一番贅沢にお金を使った時の事を書いてみようと思う。
結婚して何年目かの記念日に時計の大好きな夫が、記念になるような時計を買いたいと言い出した。
もともと時計について詳しい夫は買いたい時計はもう決まっていたようで、後はどこで買うかのリサーチを随分と時間をかけてやっていた。
当時チャンギ空港で買い物キャンペーンをやっていた。年会費無料の会員になって空港内で買い物をするとポイントがいつもより付くというもの。夫はそのポイントがどこよりも効率が良く、尚且つ品物そのものが免税になることからチャンギ空港で買い物する事にした。
会員になり、チャンギ空港内の時計屋さんに目的の時計が入荷されている事を確認し、日本へ帰国するついでに私と夫に一つづつ時計を買い、計1千万円ほど払った。
付いたポイントは約80万円。それに加え福引券も大量に貰い、福引で当たった30個以上の傘や各国で使えるコンセントなどの景品を持って帰った。
80万円分のポイントがあるので、空港内で買い物をするために別の日にクアラルンプールまで日帰り旅行し、120万円の時計を買った。そしてそれにまた10万円程のポイントが付いた。
その後は夫の出張の度にポイントはネックレスやウイスキーなど様々に品を変え消費されていった。
私たちがポイントを使い終わる頃に空港の買い物キャンペーンも終わった。
今思い出しても不思議に楽しい気持ちになる。使っても使ってもお金が減らないような気がしていた。
もう最近は一度に時計に1千万円使うような買い方はしないけど、あの一連のチャンギ空港での買い物があったので私の中では時計については今生の買い物は終わったような気持ちがしてスッキリしている。