旅行と言えば人がいかないところから、名所旧跡めぐりになってきた
18歳の頃から世界各地を放浪して来ましたが、その頃の自分は観光名所に全く興味がありませんでした。逆にどうしてわざわざ混雑を目指して観光地に行くのか不思議に思っていたくらいでした。
基本は一人旅で予定を決めず、乗りたい鉄道の路線を決めるなどテーマを絞るだけで後は行き当たりばったりの旅を楽しんで来ました。
一人で旅をしていると自然と人と知り合う機会が増え、その知り合いが教えてくれた街を訪ねたり、ガイドブックには載っていない地元の人に教えてもらった店に行ったり、どんどん縁が繋がり旅が膨らんでいきます。それが旅の醍醐味でした。
そのうち仕事で各地の僻地に暮らすようになり、ますます暮らし人を知り文化や歴史を知ることの楽しさが加わって来ました。多分独身だったら永遠にそんな生活を続けていたと思います。
ところがある日突然一人でいる事の全てが嫌になったんです。どんなに世界中に友達がいて世界各国を3ヶ月毎に移住するような生活をしていても、それを全然楽しめなくなったんです。
パズルのピースが世界中に散らばっていてあっちやこっちに飛び回って集めていても、一緒に寄り添って完成図を見てくれる人がいない事がすごく虚しくなってきました。
そこから私のライフワーク一人旅は急速に失速。失速というより墜落してむしろ家から一歩も外に出たくないところまで一気に来ました。
世界中にを回ってバラバラのピースを集めていたつもりだったのに、結果バラバラでスカスカになったのは自分だった。誰かにそのままの自分に興味を持って認めて欲しい、そしてこれからの時間を一緒に過ごしたい。
そこまで心境が変化するのに1日しかかかちませんでした。昨日まで大丈夫だったのに今日からダメになった。そのくらいあっという間。
それからというもの、冒険が目的の生活を辞め、私は自分の片割れを探す旅を始めました。自分の片割れに会うためならどこまででも行こうと強い決心で突き進みました。
とにかくツテというツテを頼って人に会い、奇跡が重なって自分の片割れである今の夫に会いました。トントン拍子で結婚する事になり、半月だった自分が彼と一緒にいるだけで満月のように満たされるのを感じました。
子供が生まれさらに上を行く幸せがある事を知りました。
そういう事を経て、今は人が行ったことがないところや新しい人に出会うことに全く興味が無くなり、悠久の時間という評価に耐え抜いた名所旧跡を家族で見て回るのが至上の喜びとなったのです。人生って不思議ですね。
こんな大人になるなんて18歳の私は想像もしていなかったでしょう。でも今が一番幸せなんです。